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なぜ日本語ユーザーのX(旧Twitter)は誤凍結が多いのか?
元エンジニア行政書士が教える「AIの誤判定」への対処法

公開日:2026年2月9日

最終更新日:2026年2月9日

なぜX(旧Twitter)は誤凍結が多いのか?元エンジニアの行政書士が教える「AIの誤判定」への対処法
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「心当たりがないのに凍結された」――そう感じる日本のXユーザーは少なくありません。
実は、日本語特有の「言い回し」や「技術的要因」が重なると、AIは簡単に誤判定を起こします。
本記事では、元エンジニアの行政書士が、誤凍結の背景と解除申請での重要ポイントを整理して解説します。

1.日本語ユーザーのXアカウントが誤って凍結されやすいと言われる理由

日本語ユーザーのXアカウントが「心当たりがないのに凍結された」「なぜ制限されたのか分からない」と感じるケースは、実際に少なくありません。特に、普段どおりに使っていただけなのに、突然ロックや凍結が発生した、というご相談は一定数あり、決して珍しい話ではありません。

まずお伝えしたいのは、こうした出来事が起きたからといって、必ずしも「重大な違反をしてしまった」という意味ではない、という点です。X側の自動判定や運用上の事情によって、結果として誤って制限がかかってしまうこともあります。落ち着いて状況を整理し、何が起きた可能性があるのかを一つずつ確認していきましょう。

こうした「心当たりがない凍結」の背景は、大きく分けて2つのパターンに分類できます。
1つ目は、本人に自覚がないまま、技術的な条件に引っかかってしまっているケースです。たとえば、VPNの利用、短時間でのログイン環境の急激な変化、海外IPアドレスからのアクセスなどが重なると、不正アクセスや自動操作と誤認されることがあります。
2つ目は、特別な技術的要因がなくても、日本語での表現や文脈が原因となり、投稿内容が本来の意図とは異なる形で解釈されてしまうケースです。日本語特有の言い回しや感情表現が、AIによる自動判定にうまく伝わらず、結果として誤判定につながってしまうことがあります。
本コラムでは、後者の「日本語であるがゆえに生じる誤判定」に焦点を当てて解説していきます。

2.AIが日本語を誤解する3つの罠

罠1:日本語の「ハイコンテクスト」

AIによる自動判定は、日本語の文脈を正確に理解できないことがあります。これが、日本語ユーザーがXで誤判定を受けやすい大きな理由のひとつです。
たとえば、日本語には「うれしくて死にそう」と言う表現があります。他にも例えば「限定品のシュークリームに2時間も並んだのに、私のすぐ前の人までで売り切れてしまった。死にたい。」のような表現を、SNSではよく見かけます。
これは「非常にうれしい」「非常にがっかりした」という感情を表現しているに過ぎません。この文章に「本当に命を断つ」という意味が含まれていないことは、日本語ユーザーであれば直感的に理解できます。
一方で、文脈を十分に理解できないAIにとっては、リスクのある表現として検知される可能性があります。
日本語は、それほどまでにハイコンテクストな言語です。そして、英語と比べて、皮肉、婉曲表現、省略、主語の省略が非常に多く含まれます。そして、この言語特性こそが、AIによる誤判定が生じやすい土壌になっているのです。
ちなみに、私はかなり初期からさまざまなAIに触れてきましたが、当初はすべて英語で使用していました。なぜなら、当時のAIの日本語認識能力は極めて低く、実用に耐えなかったからです。AIの日本語認識能力が、ようやく実用レベルに達したのは、ここ2〜3年ほど前のことに過ぎません。
つまり、日本語はそれだけ特殊な「難易度の高い言語」であり、それゆえ開発が後回しにされてきた言語だということです。

罠2:英語圏基準の「学習データ不足」

もうひとつ、日本語ユーザーが不利になりやすい理由として、Xをはじめとする多くのSNSが、英語圏を前提としたルール設計・運用を行っている点が挙げられます。
つまり「AIは英語圏の生まれ・育ち」なのです。
Xは米国企業であり、利用規約や運用基準、AIによる自動判定ロジックも、基本的には英語での投稿や、英語圏の言語感覚を基準に構築されています。特にAIによる自動判定は、大量の学習データとルールを前提に設計されており、その基盤となる、すなわちAIの学習に用いられる情報環境そのものが、英語を中心に形成されている点は見逃せません。
実際、学術論文や技術文書は英語で書かれたものが圧倒的に多く、世界的に参照される知識や研究成果の多くが英語で蓄積されています。さらに、著作権の制約を受けずに利用できる、あるいは正当に入手され、利用条件が整理された学習用データについても、量・質の両面で英語資料が圧倒的に充実しています。
こうした背景から、AIはまず英語の文脈や言語感覚を基準として精度を高め、他言語への対応は後追いにならざるを得ない構造があります。その結果、英語では自然に区別できるニュアンスや文脈が、他言語では十分に再現されないまま運用されているケースも少なくありません。
もう少し分かりやすく表現すると、英語は日本語と比べて主語や目的語が明示されやすく、表現の意図や評価対象を文面から比較的読み取りやすい言語です。一方、日本語は文脈依存度が高く、読み手の共有前提に多くを委ねます。
そのため、日本語では自然で無害な表現であっても、 英語圏基準のルールやAI判定にそのまま当てはめると、リスクのある投稿として扱われてしまうことがあります。

罠3:保守的な「リスク回避運用」

日本語特有の表現が誤認されやすい分野には、いくつかの典型があります。
たとえば、麻薬取引や性犯罪、自死といった分野は、それ自体が社会的に重大な問題とされているため、投稿内容が問題提起、感情表現、ニュースの引用であったとしても、AIによる自動判定ではリスクの高い内容として検知されやすい傾向があります。
これらの分野で制限や凍結が行われるのは、投稿者が違反行為を行っているからとは限りません。むしろ、「万が一見逃した場合の社会的リスクが高い」と判断されるため、プラットフォーム側が予防的・保守的な運用を行っていることが背景にあります。
その結果、日本語では注意喚起や批判、被害経験の共有として自然な表現であっても、文脈や意図が十分に汲み取られないまま、特定のキーワードや表現だけが抽出され「危険な投稿」として扱われてしまうことがあります。こうした運用が「心当たりがないのに凍結された」と感じるケースにつながる一因となっています。

3.「心当たりがない凍結」が起きた場合に確認すべきポイント

日本語特有の表現が原因となる誤判定が疑われる場合には、まずは感情的に反論するのではなく、ご自身のアカウントの状況を一度冷静に整理してみることが重要です。
確認の際は、直前の投稿だけでなく、直近2〜3か月程度を目安に、アカウント全体の動きを振り返ってみてください。
たとえば、以下のような点です。
・過去の投稿で、どのような言い回しや表現を使っていたか
・投稿だけでなく、返信や引用投稿も含めて、強い言葉や誤解されやすい表現がなかったか
・特定の話題(事件・社会問題など)に集中的に反応していなかったか
・同様の報告が相次いでいる時期と重なっていないか
(いわゆる一斉判定・一斉見直しが行われるタイミング)

4.「心当たりがない凍結」の原因は一つではない

本コラムでは、日本語特有の表現や文脈が原因となる誤判定について詳しく述べてきました。
ただし、「心当たりがない凍結」の原因は、日本語表現だけに限定されるものではありません。

実務上の感覚としては、ログイン環境や通信環境の変化といった技術的要因が主な原因となっているケースのほうが、むしろ多いと感じます。一方で、日本語の文脈や表現が誤って解釈されるケースも、一定数存在します。

つまり、日本語であるがゆえの誤解も、技術的な要因による誤判定も、いずれか一方が唯一の原因になるというのではなく、どちらも「心当たりがない凍結」を生みやすい要因のひとつだと捉えるのが適切です。

その中で、今回、日本語特有の問題を取り上げたのは、利用者側から見えにくく、かつ誤解されやすい要因だからです。技術的な要因は、設定や環境の問題として比較的説明されることが多い一方で、日本語の文脈や言い回しが影響している可能性は、あまり語られることがありません。

しかし、実際には日本語特有の表現が、英語圏基準のルールやAI判定にうまく適合せず、結果として誤判定につながっているケースも確実に存在します。その点を整理して伝えることには、一定の意味があると考えています。

5.誤凍結の場合、解除申請で重要になる考え方

誤凍結が疑われる場合、解除申請において重要になるのは、感情を強く打ち出さないことです。
不安や憤りを感じるのは自然なことですが、文書では、あくまで冷静に、客観的に、事実を整理して伝える姿勢が求められます。 「納得できない」「理不尽だ」といった感情的な表現は、 判断に直接寄与しないだけでなく、文書全体の説得力を弱めてしまうこともあります。
解除申請では、
・何が起きたのか
・どの点について誤判定の可能性があると考えるのか
といった事実関係を、簡潔に、過不足なく示すことが重要です。
AIによる自動判定や、その後の人手による確認は、限られた情報をもとに行われます。だからこそ、読み手が短時間で状況を把握できる構成や表現が求められます。

6.行政書士が対応できるケースと、対応範囲について

原因が一つに特定できない「心当たりがない凍結」の場合には、事実関係を冷静に整理し、誤判定の可能性を丁寧に説明することが重要になります。

行政書士が対応できるのは、お客様から伺った事情をもとに事実関係を整理し、申請に必要な情報を構造化したうえで、SNS運営会社に提出する文書を作成することです。いわばドキュメントエンジニアリングに近いです。

本コラムで解説した「日本語表現の文脈が正しく伝わっていない可能性がある場合」だけでなく、ログイン環境の変化や通信環境の影響など、技術的な要因が関係していると考えられるケースについても対応することができます。

私自身、過去にデータベースエンジニアとして、システムの運用管理や開発に携わってきました。その経験から、AIによる自動判定や不正検知が、どのような条件の組み合わせでフラグを立てやすいのかを踏まえ、技術的背景を含めた形で整理することが可能です。

一方で、利用規約や法律の解釈を争う場合や、違法性の有無を争う場合など、法的評価を前提とした主張が必要となる場合には、行政書士の業務範囲を超えるため、弁護士への相談が必要になります。

7.まとめ:日本語ユーザーが不利でも、対処の余地はある

日本語ユーザーのXアカウントが誤って凍結されやすい背景には、日本語特有の文脈や表現、そして英語圏を前提としたルール設計やAI判定の仕組みがあります。また「心当たりがない凍結」には、日本語要因だけでなく、技術的な条件が重なった結果として生じているケースも少なくありません。
重要なのは、凍結されたからといって「何か重大な違反をしてしまった」と決めつけて、必要以上に落ち込んだり、過度に萎縮したりする必要はない、という点です。
他方、解除申請は万能ではなく、どのような対応をしても必ず解除されるわけではありません。
それでも、状況を冷静に整理し、事実関係を客観的に伝えることで、誤判定が見直される可能性は確実に高まります。原因を正しく切り分け、適切な形で申請を行うことが、時間や労力を無駄にしないための現実的な選択と言えるでしょう。
「何もしていないのに凍結されて困っている」場合には、 一人で抱え込まず、専門家の視点を取り入れることで、次に取るべき行動が見えてくることもあります。

8. お問い合わせ

凍結解除のご相談・お申込みは、下記のフォームから受け付けています。内容を確認のうえ、担当者より折り返しご連絡します。

当事務所の凍結解除サービスの料金体系など
※ 本コラムは特定の手法や主張の有効性を保証するものではありません ※

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